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松村 大樹; 辻 卓也; 吉井 賢資
Materials Chemistry and Physics, 238, p.121885_1 - 121885_5, 2019/12
被引用回数:0 パーセンタイル:0(Materials Science, Multidisciplinary)ペロブスカイトPrSrCoO(00.5)についてX線吸収分光測定を行うとともに、x=0.5で観測される110Kの磁気異常の起源を探るため磁気熱量効果測定を行った。Co吸収端のX線吸収測定からは、xが増えるとともにCoの原子価が増加し、Co-O結合距離が縮まることが分かった。また、CoO多面体の歪みも増大することが分かった。Co-O結合距離の縮み方は、xが大きいほど大きいことも分かった。測定温度範囲である17-300Kでは、Co吸収端の吸収スペクトルには異常は見られなかった。磁気熱量効果の結果と合わせ、110Kの異常は磁気構造の変化であることが分かった。
Xavier, J. C.*; 大西 弘明; 堀田 貴嗣; Dagotto, E.*
Physical Review B, 73(1), p.014405_1 - 014405_9, 2006/01
被引用回数:9 パーセンタイル:41.55(Materials Science, Multidisciplinary)一次元軌道ハバード模型の基底状態におけるスピン・電荷・軌道相関関数を、相互作用パラメータ及び電子数を変化させた場合について、密度行列繰り込み群法を用いて系統的に解析した。まず、コバルト酸化物を念頭に、電子数=5の場合について調べた。その場合、相互作用の大きさを変化させると、非磁性絶縁相と強磁性相の間で一次相転移が起こることがわかった。また、フント結合がゼロの極限では対称性が存在するが、フント結合が弱い領域でも、この特殊な対称性の名残として、四倍周期のスピン・軌道状態が実現することがわかった。さらに、電子及びホールドープによって電子数を=5から変化させた場合には、絶縁的な状態から金属的な状態へと変化することがわかった。
西川 裕規; 池田 浩章*; 山田 耕作*
Journal of the Physical Society of Japan, 73(5), p.1127 - 1130, 2004/05
被引用回数:17 パーセンタイル:65.19(Physics, Multidisciplinary)最近発見された水和コバルト酸化物超伝導体について、その超伝導機構が電子相関によるものかどうかを議論した。具体的には、第一原理計算を使用して得られた水和コバルト酸化物の電子構造を使用して、超伝導を議論するモデルを構成し、電子相関機構での有利な超伝導対を計算で予想した。電子相関の扱いは、電子相関に関する3次摂動で扱った。その結果、スピン一重項の場合はd波対が、スピン三重項の場合はf波対が有利であることがわかった。両者は同程度に有利であることもわかった。また電子相関による超伝導転移温度は、実験での転移温度を説明するにはかなり低いという結果になった。このことは水和コバルト酸化物超伝導体の超伝導に電子相関以外の機構が働いている可能性を示唆している。
水牧 仁一朗*; 吉井 賢資; 河村 直己*; 中沢 誠*
Surface Review and Letters, 9(2), p.855 - 859, 2002/04
被引用回数:1 パーセンタイル:7.78(Chemistry, Physical)コバルトを含む強磁性ペロブスカイト酸化物LaSrCoOに対し、磁気円二色性(MCD)スペクトルをCoの1s及び2p吸収端、及びLaの3d吸収端で測定した。Coの3d電子の軌道磁気モーメントは、Sr置換量とともに増大した。また、Laの4f軌道はスピン編極していないが、5d電子には編極が見られた。これは、La5dとCo3d電子の混成によるものである。
吉井 賢資; 中村 彰夫; 阿部 英樹*; 水牧 仁一朗*; 室 隆桂之*
Journal of Magnetism and Magnetic Materials, 239(1-3), p.85 - 87, 2002/02
被引用回数:15 パーセンタイル:59.47(Materials Science, Multidisciplinary)ペロブスカイトコバルト酸化物LnSrCoO (Ln=Pr, Nd, Sm, Eu及びGd)の磁性と伝導について調べ、以下の結果を得た。(1)結晶構造は、Ln=Prが単斜晶、Ln=NdとSmが斜方晶、Ln=EuとGdが正方晶である。(2)キュリー温度230から130Kで強磁性転移が観測される。転移温度は希土類元素を重くすると共に低くなる。(3)Ln=Gdを除く全ての系は300K以下で金属的である。Ln=Gdは80Kより高温で金属的、また、この温度以下で抵抗が増大し、金属-非金属転移が起こっていることを示唆する。これらの挙動は対応するBa置換系LnBaCoOの絶縁体的性質と異なる。(4)放射光磁気円二色性から、LnSrCoOは低温での強磁性が確かめられたが、対応するBa置換系LnBaCoOは低温で強磁性成分はほとんど存在しない。これらLnSrCoOとLnBaCoOの異なる性質の起源を結晶構造との関連により推測した。
吉井 賢資; 筒井 智嗣; 中村 彰夫
Journal of Magnetism and Magnetic Materials, 226-230(Part.1), p.829 - 830, 2001/05
ペロブスカイトコバルト酸化物PrACoO(x0.5, A=Sr and Ba)に付き、その構造及び磁性について調べた。(1)結晶構造は斜方晶Pnmaである。A=Srでは、格子定数はxに対して単調増加するが、A=Baではb軸長のみx=0.4で最大となる。(2)x=0では、磁気秩序は観測されない。xを増加するとともに、x0.2で明瞭な強磁性転移が観測される。A=Srでは、キュリー温度はxの増加とともに240Kまで単調増加する。一方、A=Baではx=0.3-0.4で最大190Kとなる。(3)低温での磁気緩和及び交流帯磁率測定から、観測された強磁性転移にはスピングラスなどのランダム状態が共存する。上記(2)キュリー温度の挙動の違いについては、(1)の結晶構造の結果をもとに、交換相互作用の変化と関連し解釈した。また(3)は類似系LaSrCoOの結果と定性的に同様である。
吉井 賢資; 中村 彰夫
Physica B; Condensed Matter, 281-282, p.514 - 515, 2000/06
被引用回数:26 パーセンタイル:75.23(Physics, Condensed Matter)コバルト酸化物PrSrCoOについてその磁気的性質を調べ、類似化合物LaSrCoOの性質と比較した。本系の結晶構造はxの全領域で、斜方晶ペロブスカイト型を示した。x=0の化合物PrCoOは300K以下では磁気転移を示さないが、SrをPrサイトに導入することにより、強磁性転移を起こす。転移温度はx=0.5で最大で~250Kであった。低温で磁化の緩和を測ったところ、磁化が時間の対数に比例することがわかった。スピングラス特有のエージング効果が観測されなかったことと、同一の結果がLaSrCoOで得られていることから、この強磁性はクラスターグラス状態を伴っていることを推測した。LaSrCoOではx=0.15にスピングラスとクラスターガラスの境界があることが報告されているが、本系ではx0ですべてクラスターガラス状態であることがわかった。